うたたね日記〜姫言葉ヒメゴト〜えいひ嬢による日々の言ノ葉を綴る、うたたね日記。

| CALENDAR | ENTRY | COMMENT | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | RECOMMEND | OTHERS |
時は巡りて、今。15年分の感謝と、今の気持ち。



気が付けば、六月。雨の多いこの季節は、割と好き。
私の場合、雨の降る日はいつもより眠りが深く、
起き出すのに少々時間がかかってしまうという特徴があるのだが、
そのおかげで外を見なくても、今日は雨が降っているんだとわかることがある。

いつもならすんなりと起きれるはずの時間。
なのに、もう少し、あと少しだけ・・そう思う日は、十中八九、雨だ。
そしてようやく起きだし、カーテンを開ける。木々に降り注ぐ雨の音。しとしと・・。

なぜだかはわからない。けれど、これは昔からの特徴のようだ。
何の役にも立たない、わたしの特技。
人間の身体って時々、本当に不思議なものだ。

前回のうたたね日記から、一月半。
気が付けば、こんなにも時間が経ってしまいました。
改めまして、お久しぶりです、皆様。ゴキゲンいかがですか?

そしてまずは上の写真にもありますように、こちらから。
先日の報道でわたくし、しいなが出演させて頂きました映画「オーディション」が、
アメリカのサイトで、死ぬまでに見たいホラー映画20本に選ばれたそうですね。
ヒッチコックの映画やジョーズと並んで、その他の作品も実にそうそうたる顔ぶれ。

2009年にも一度、ニューヨークポストなどで一位に選んでいただいたんですけど、
その時は日本でも、スポーツ新聞の一面になっていました。
その他のテレビなどのメディアは、取り上げてはくれませんでしたが(笑)

そして今回も「オーディション」は、アジア映画としては唯一のノミネートとのこと。
いよいよこの作品も、ある意味、殿堂入りというところでしょうか。

そしてこの度の件に関しまして、ファンの皆様からのツイッターやメール等での
祝福のメッセージ、本当にありがとうございました。
戴いたコメントは、すべて読ませて頂きました。
メッセージのひとつひとつが、とてもうれしく、心からの励みになりました。

あの作品を撮り終えてから今年で15年。
思えばこの作品を撮影していたあの頃の私が、15年後の今のことを想像できていたで
しょうか。いいえ、決してそうではありませんでした。
日々ハードな撮影の中で考えていたことは、もっと違う、別のことだったように思う。

椎名英姫としての立ち位置や、今後の自分の行く末についてなんて、
正直、何も解ってなんていなかった。15年後、こうして自分が女優を続けて
いると思ってもいなかったし、ましてやこの作品について15年後の今も、
作品についてお話しする機会が頂けるなんてこともないだろうと思っていたから。

時は、過ぎゆくもの。在りし日の出来事は、いつしか、人々の記憶からは
忘れ去られてゆくもの。生きていて、この仕事をしていて、その諸行無常とも言える
寂しさや時の流れの摂理は、痛いほどに感じていたことだったから。

けれど、これだけの時が巡った今も、皆様の記憶から忘れ去られることなく、
こうして世界中の皆様にこの作品が愛され続けていることを誇りに思います。
そしてこの作品が、今までと、今、そして、これから歩んでゆく道のりの中で、
私にとってかけがえのない様々なご縁に繋がっていってくれたのだなあと
改めて思い、感謝する今日この頃です。

「オーディション」の評判を聞きつけたアメリカの会社が立ち上げる企画を通し、
西村監督に出会えたことも、わたしにとってひとつの大きなご縁でした。
そして西村監督による「東京残酷警察」という作品に出会うことが出来、
各国の映画祭やイベントで「オーディション」でわたしを知ってくれた
たくさんのファンの人々に、直接お礼を言いに行くことが出来た。

そして「東京残酷警察」は、世界中の人々に愛され、「オーディション」と並ぶ
しいなえいひにとってのアイデンティティとも言える代表作となり、
私の女優としての立ち位置を形づけてくれた。

そこからこうして7年という時が過ぎた今、うまくいくことばかりではないけれど、
繋がってくれた人々の絆と後押しのお陰で、今もこうして
しいなえいひとしての仕事をさせてもらっているのだなあと思う。

「オーディション」という作品が無ければ、西村さんとの出会いが無かったら、
「東京残酷警察」が無かったら、今のしいなえいひは、存在して無いと思う。

私は、もともと、規格外の存在だった。
モデルとしてデビューしたのもパリで、日本よりも先に世界で売れた。
そして日本に凱旋するような形で、モデルの仕事をすることになったけど、
まず最初に海外でのデビューが無ければああはならなかっただろうと思う。

モデルの仕事では、規格外であることが自分のオリジナリティとなり、
その後のアジアンモデルブームとのタイミングも重なって、
うまくその特徴を生かしつつ、悔いのない仕事が出来たと思っているけれど、
女優というお仕事の中では、わたしのような存在は、良く言えば型にはまらない、
逆を言えば、使いにくい規格外の存在。

パッと映った時に普通に見えない、どこにでもいそうな普通の人が演じられない。
そう思われる。それは、わたしの見た目とか、立ち姿とか、様々な要素として。
だからまずはそのはみ出た存在感を、消すことから始めなければいけない。

だからこそ、自分が出来る役は多くは無く、一点集中型で出会いのタイミングに
多くを左右される。また、売る方も、使う側も、面白い存在だとは認めてくれても、
どの役を付けるかとなると、考えることも多かっただろう。

自分は女優には向いてないのかもしれない。
そういう風に考えることもしょっちゅうだった。

けれどもその規格外の私を、見事救い上げ、生かしてくれたのが
西村さんと三池さんだった。それまで抑えていた自分の特徴を開放し、
カメラ前に立つ。生きて暴れる。
それを精一杯受け止めてくれた監督。「東京残酷警察」とは、そういう作品だ。

規格外のわたしを、いいと言ってくれる西村さんと出会えたからだ。
そしてこのふたつの作品を通して、出会えた世界中のファンの皆さんや、
その後のご縁としてつながってくださった方々に出会えた。
今のしいなえいひの周りにいてくれる人々との出会いが無ければ、
私はとっくに女優としての生涯を終えていただろうとそう思う。

だからわたしは、そんな自分の歴史を大事にしていきたい。
時にはイメージをぶち壊し、新たなチャレンジはしつつも、
今までの道のりや、応援してくれている人々に背くような仕事はしたくない。
その意味は、過去の栄光にすがるという意味ではなく、
決して万人に受ける器用では無い、しいなえいひのことを、
好きだと言ってくれる人達のことを、これからも大事にしていきたいという意味で。


3月から4月にかけて撮影した西村組の新作映画。出来上がりが本当に楽しみだ。
上に書いたような気持ちを、全て込めてカメラ前に立った作品。
東京残酷警察を撮影した、7年前のあの時の気持ちと同じ気持ち。
他でもない、西村さんの久しぶりの長編。最高な作品になって欲しいから。
私がどんなにフルボリュームで行っても、
きっと西村さんなら受け止めてくれると信じてたから。

監督はしいなえいひを気に入ってるから使ってるだけだ。
そう誰かに言われるなんてイヤだし、言わせたくない。
そうなったら意味が無いから。最高のしいなえいひを、残さなければ意味がない。
それが出来たかどうかなんて、いつもわからないけど、
監督と映画を見てくれる人が、気に入ってくれたら私はそれでいい。

これから先、どこに向かってゆくのか。そしてまたこの場所から、
どんな人々に出会えるのか。辿りつくまでの道のりはまだまだ遠いが、
今は今の自分に出来ることを、一歩ずつ、やっていくのみだ。

この二か月ほどの間にも、本当にいろいろなことがあった。
全てが思うほどうまくはいかない。今の私が居る場所は、
きっと二年前の大変だったあの頃と似ている。
けれどあの頃の自分と違うのは、少なくとも信じれるものが、
この日々を乗り越えた先に見たいと思える景色が、胸の中にあること。

明日(11日)は石井監督と一緒に、中国拳法「咏春拳」のレッスンを受けに行く日。
その前に大島さん(シンシア・ラスター)のアクション指導の教室にお邪魔して、
アクションの手ほどきを受けて来る予定。
今よりも強く、しなやかに、舞えるように。闘えるように。

今月の25日からは、次なる映画の撮影。それが終わったら、また違う日々に戻る。
またあの時のように、これから、もう一度違う道を行かなければいけないけれど、
仕方ない。ゼロから始める。もう少しだけ、前を向いて進んでみる。
またいつの日かこの場所に、きっと戻ってこれるように、
雨の日も、風の日も、精一杯、生きよう。

そしていつかこの空が晴れる頃には、今よりも少し、強くなれているだろうか。
続きがあるのか、無いのか、今の私に、未来のことは皆目わからない。
けれど、大切なのは今を生きること・・だよね?
そう言い聞かせて、進むのみだ。規格外で上等。我が道を行け、しいなえいひ!

なんて叫んでみた6月の夜。15(年目)の夜。
OZAKIのように盗んだバイクでは走り出しませんが、
少しだけ自由になれた気はした、しいなえいひでした。




全てのベイビーズへ、15年分の感謝と愛を込めて。
2014年6月11日  しいなえいひ




| 04:04 | - | - |
<< NEW | TOP | OLD>>