うたたね日記〜姫言葉ヒメゴト〜えいひ嬢による日々の言ノ葉を綴る、うたたね日記。

| CALENDAR | ENTRY | COMMENT | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | RECOMMEND | OTHERS |
姫のゆうばり国際ファンタスティック映画祭レポート その2

2月28日 映画祭二日目

朝7時起床。顔を洗って楽な格好に着替え、ホテル二階にある朝食会場へ向かう。
今日は一日中審査上映で映画を見続けるので、朝ごはんはちゃんと食べておかな
ければ。会場ではマークさん達がおり、一緒のテーブルでご飯を食べることに。

同じテーブルで今回「GREATFUL DEAD」の上映でいらしていた
内田英治監督とお会いする。一緒に朝食を食べながら、いろいろとお話させて頂く。
大変クレバーでお優しいフラットな方だ。今回の上映もぜひ拝見させて頂きたい
ところだが、今回の審査上映のスケジュールと重なっていて見に行けない。
監督とのお話の際に「しいなさんの好きな映画はどんな映画ですか?」と聞かれ
お話しすると「でしたらますます僕の映画も見て頂きたかったな」
と言ってくださる。これはぜひとも拝見させていただかなければ、と思った。

一度部屋に戻り、着替えてからロビーへ降りる。
今日はずっと劇場に座っているので、着物じゃなくて楽な感じのスーツにした。
この日着ていたグッチのベルベットのパンツスーツは、15年以上前、
当時モデルをしていた時のCMで着用していたもの。その後は三池監督
「オーディション」が東京国際映画祭で上映された際の舞台挨拶の時にも
着ていた懐かしいスーツだ。

ホテルを出発し、会場へ向かう。
TAKUMIXは昨晩(というか今朝方)まで西村さん達と飲んでいて、
朝五時にようやく解散したとのこと。映画祭の魅力は、映画上映はもちろん、
こうして映画を愛する人々といろんな話をしたり、触れ合えることも大切な
醍醐味の一つ。会は非常に盛り上がっていたそうで、何よりだ。
「初日から朝までお疲れ様」と声をかけつつ、皆で会場に向かう。

会場に着き、11時半から審査上映。
韓国のファン・チョンミル監督の「死ななくて」の上映。
製作費や撮影日数の少なさを全く感じさせない完成された映画。
登場人物の心情と描き方が繊細かつ丁寧でぐっと心を掴まれる。
監督の総合演出力と俳優陣の演技力の素晴らしさに感動。
韓国映画の底力を感じた一作だった。

上映の後、控室でお弁当を食べながら、次の上映までに昨日から鑑賞した
三作について審査員のみんなでディスカッションし合う。
今回のオフシアターの審査委員長である根岸吉太郎監督をはじめとした提案で、
今回の11作品における審査方法を最終日の審査会議のみでなく、三作品ごと
にひとつひとつディスカッションし合うという方法をとることになった。

上映ごとに作品についてそれぞれに感じたことを述べながら、
ひとつひとつの作品に対してみんなで向かい合っていくというやり方。
11作品すべてに込められたそれぞれの映画に対する愛とエネルギーに対して、
私たち審査員がどう向かい合えるのか、精一杯の気持ちで受け取っていきたい、
そう思った。

ディスカッションをしていると、あっという間に午後の上映時間。
控室を出てホワイトロックドームに移動し、午後の上映に向かう。

フェリペ・ゴメス監督の「ボボ・フリッター」
光武蔵人監督の「女体銃 ガン・ウーマン」
ウエダアツシ監督の「リュウグウノツカイ」
竹葉リサ監督の「さまよう小指」
の四作品。

ボボ・フリッターの小粋なグロナンセンスの世界観。
おしゃれなレストランのコマーシャルが始まったかと思いきや、
本編の映画だったという滑り出しの面白さ。

「女体銃」は主演の亜紗美の熱演とアクションの迫力は脱帽モノ。
監督と主演女優が覚悟を決めてがっつりと組み、共犯意識にも似た
愛のもとに闘っている衝撃作、そんな勢いを感じる作品で、
六年前に西村さんと組んだ「東京残酷警察」の時の気持ちを思い出した。

「リュウグウノツカイ」は出演した高校生役の10人の演技のリアリティと
それをまとめ上げた監督とスタッフ陣の力量に感動。
集団妊娠と言う難しいテーマを、日本と言う身近な場所に落とし込んで
映画として実現したその発想力に感銘を受ける。

「さまよう小指」は脚本の素晴らしい完成度と発想の面白さ、
演じている役者陣の心からの楽しそうな姿がこちら側に伝わってくるようで
その制作陣の映画に込めた愛が、集結して作品の色味となってプラスに働いている。
女性監督ならではのキッチュでチープなかわいらしさと表現方法に脱帽。
涙あり、笑いありの本当に楽しい映画だった。

本日のすべての上映が終わり、一度ホテルに戻ってから、西村さんから連絡が来て、
ホテル近くの屋台村に向かう。屋台村では様々な映画監督や出演者、今回の映画祭
ゲストなどの関係者が集合しており、それぞれのテーブルでご挨拶しつつ様々な
テーブルを回る。

ハイサーエイカーの高山創一プロデューサーとお話ししつつ、モノ創りに対する
気持ちを熱く語り合い、お名刺の交換もさせて戴く。ナコ(水井真希監督)や
本日の上映で作品を見させていただいた「死ななくて」のファン・チョンミル監督
ともお会いし、通訳の方を通して今日拝見させて戴いた映画の感想を伝えていただく。

あっという間に時間は過ぎ、次の行事に向かう時間になった。
名残惜しい気持ちで、わたしは一足先にホテルに戻り、
ロビーで待っていただいたファンの方と記念撮影。
そのあとに控えた審査員や関係者で行われる懇親会へと向かった。

会場の鹿鳴館では大林宣彦監督や夕張市長さんやフジテレビの
笠井アナウンサーなど今回の映画祭のゲストが集まっており、
夕食を取りながら談笑。今朝の朝食の席でお会いした内田英治監督
もいらっしゃり、改めてご挨拶とお名刺の交換。
監督から今回の作品のDVDを頂き、大変感激する。
博多に戻ってぜひ見させていただき、感想をお送りしよう、そう思った。

懇親会は遅くまで続き、車でホテルに戻る。
今日一日の出来事と作品を振り返りながら、真夜中に眠りにつく。
明日は午後から懇親会と、四本の審査上映と審査会議を控えた重要な日。
審査会議を終えたらその足ですぐに西村さんのイベントだ。

一日中張りつめた気持ちで過密なスケジュールを過ごしていたからか、
体力的にはヘロヘロだが、明日も精一杯映画と向かい合うぞ、
そんな気持ちで眠りについたのだった。


3月1日 映画祭三日目

午前10時50分、ロビーに集合し昨夜も懇親会が開かれた鹿鳴館にて
オフ・ショート合同の審査員昼食会。
蝶ネクタイをしたスタッフさんと豪華なお部屋でフランス料理。
隣に座ったTAKUMIXと「マリーアントワネットの気持ちだね。
思いっきり普通の恰好で来ちゃったよ(笑)」なんて言いつつ、過ごす。
夕張に来てからの怒涛のスケジュールで、朝食以外はまともに食事を
取れていなかった気がする。ひさしぶりのちゃんとした食事、という感じ。

昼食会を終えて会場に戻り、午後からの上映。本日の上映メニューは

磯谷渚監督の「天使の欲望」
高畑鍬名&滝野弘仁監督の「FUCK ME TO THE MOON」
中村研太郎監督の「フリーキッチン」
べ・テス監督の「トラブル・トラベラー」
の四作品。

「天使の欲望」は昔のにっかつロマンポルノを彷彿とするようなタイトルの
はじまりに目を引く。主演を演じていた女優さんのキリリとした眼差しがいい。
上映後の舞台挨拶で監督がこの映画はオールアフレコだったとの話をうかがい、
まったく自然だったので気が付かなかったと驚いた。

「FUCK ME TO THE MOON」は高畑監督と滝野監督の共同制作という作品。
映画の中に出てくる主演の二人の関係性につながるような、ひとつの作品を
二人の監督で創り上げるという面白さに興味を持った。
作品の中で主演のふたりの男同士の友情や会話のテンポとセンスは秀逸で、
中盤から後半に向けてのストーリーが盛り上がっていくビート感は会場の
皆が見ていて引き込まれて行っている感覚があった。
ラストに向かう海でのシーンには思わず涙。ぐっと心にくるものがあった。

「フリーキッチン」は母と息子の関係性に象徴される、息子役の主演の彼の
心のペースに合わせたスローリーともいえるカット割りが独特だった。
一見穏やかで、裕福で恵まれたように見える家庭の姿の向こう側に、
透けて見える秘密と共存する日常の緊迫感とリアリティ。
後半のシーンは、少し「オーディション」を彷彿とさせる場面があったり、
前半のスローリーなカット割りが変化するその境目のところに興味を惹かれた。

「トラブル・トラベラー」
は監督の住む鳥取県を舞台にした作品。
コミカルな四コマ漫画を連続したような独特の表現方法。
ところどころに鳥取砂丘のラクダが出てきたり、ロケはオール鳥取県。
舞台挨拶で監督が「これからもずっと鳥取を舞台にした映画を撮りたい」
とおっしゃっていたように、監督の地元に対する愛が込められた作品だった。

そして本日でオフシアターにノミネートされたすべての作品の上映が終わり、
審査員としては夜に控えた最終審査の会議を残すのみとなった。
会議までの時間で、会場前のストーブパーティーに少しだけ顔を出し、
夜の審査に控える。この三日間で触れたすべての作品を審査するということは、
こんなにも難しく、責任のあることなのかと改めて痛感する。

ストーブパーティーから離れ一人で外に座り、最終会議までの時間を悩みつつ
過ごす。控室に用意されたお弁当もなかなか喉を通らない。
何度も控室と会場の外を行ったり来たりしながら、夜の夕張の寒さが全く
気にならなかったのは、きっと緊張していたからなんだろう。

そしていよいよ最終審査の時間がやってきて、会議スタート。
私たちオフシアター・コンペディションの審査は、当初予定していた時間を
大幅に超え、熱い会議は遅くまで続いた。

そして審査を終え、今夜はいよいよ西造イベントだ。
夜の10時半からの予定に少し遅れそうになりながら、慌てて会場に向かう。
審査員としての仕事も大切。けれど西村さんとのイベントも、私にとってとても
大切なものだ。雪の中をてくてくと歩きながら会場へ向かう。
楽しみだなあ、盛り上がるといいな、そう思いながら会場までの道を歩いて向かった。

次回へ続く

| 20:15 | - | - |
<< NEW | TOP | OLD>>